先週はあんなに打てたのに、今日は別人のように当たらない。ゴルファーなら誰でも、この「波」に悩まされた経験があるはずです。
多くの方は、波の原因を自分に求めます。練習が足りない。集中できていない。歳のせいかもしれない——。
私は、そうではないと考えています。波があるのは、打ち方そのものがタイミング頼みだからです。
手で合わせる打ち方は、「2つの時計」を合わせる作業
フェースをボールに向け続け、インパクトで手先のつじつまを合わせる打ち方は、言い換えると、2つの時計を毎回ぴったり合わせる作業です。
ひとつは、クラブが降りてくる時計。もうひとつは、あなたの体内時計。
ダウンスイングにかかる時間は、まばたき1回分ほど。始まってしまったら、途中で気づいて直すことは誰にもできません。だから、打つ前に仕込んだタイミングを、本番でそのまま正確に再生するしかない。
ところが体内時計のほうは、疲れや緊張、気温や睡眠で、毎日少しずつズレます。
タイミングが合った日が、「いい日」。ズレた日が、「悪い日」。それだけのことだった——私はそう考えています。
プロは毎日、時計を合わせ直している
「でも、プロは同じ打ち方で安定しているじゃないか」と思われるかもしれません。
プロは、毎日何百球も打って、その体内時計を合わせ直し続けています。時計がズレる前に、合わせ直す。それができる練習量があるから、手で合わせる打ち方でも成立するのです。
週に1回、練習場に行けるかどうかのアマチュアが、同じ打ち方で勝負するのは——分が悪すぎます。
タイミングに頼るスイングは、練習量のある人のためのもの。物理法則に則ったスイングは、練習量を確保できない人のためのもの。
物理には、調子がない
一方、クラブの重さと物理にまかせる打ち方には、時計が1つしかありません。クラブがボールに届くのも、フェースが戻ってくるのも、同じ1つの物理現象だからです。その日のテンポが多少変わっても、両方が一緒にズレて、打ち消し合ってくれる。
そして何より——物理には、調子がありません。
重力は、疲れません。緊張もしません。歳も、取りません。毎回、同じ強さで、同じ方向に働いてくれます。
調子の波と戦い続けるのか。それとも、波のないものに仕事をまかせるのか。
フェースを開いて使う打ち方が、なぜプロのような練習量が取れない人にこそ安定するのか。全体像はピン筋の力学とはで解説しています。